桃の保存
2008.09.21 09:57 投稿者:ぶどうおばさん

十日程前の話になりますが、桃を生のまま長期保存することが可能になりそうだ、
という記事が新聞(9/9付山梨日日新聞)に載っていました。
りんごを長期保存する時のやり方「CA貯蔵」で桃を保存する試みが、JAフルーツ
山梨で進行中だそうです。
CAとは、Controlled Atmosphere(調整された空気)の略です。
果物は、収穫後も生きており、人間と同じように呼吸(酸素を吸って二酸化炭素
を排出)しています。従って、酸素の供給を減らせば呼吸が不活発になり、熟したり
傷んだりするのを防げる、という考えです。
なら、例えば、二酸化炭素を充満させたままにしておけば、酸素が吸えず呼吸を
不活発化させられるのでは?
実際には、呼吸を抑制できても、二酸化炭素は果実障害を起こす(CO2障害)ことが
わかり、結局改良を重ねた結果、窒素濃度を高くするという方法になったようです。
調整された空気、というのは、窒素•酸素•二酸化炭素の割合を調整した空気、という
ことになります。
JAフルーツ山梨では、青森県の会社と共同で実験し、CA貯蔵で1ヶ月保存した桃を
試食したところ、果肉に少し黄バミはあるものの、品質的には落ちていないことが
分かったとのことです。
今後は、CA貯蔵と冷蔵貯蔵の2パターンで保存を試みるとのことです。
(上の写真は、上記会社の窒素調整機です。
会社のHPからお借りしました。)
冷蔵する事は、カビ•細菌の繁殖を防ぐ効果の他に、呼吸量を減らす効果があります。
上記の会社は、ネットで拝見すると、CA冷蔵庫というものを開発していて、それは、
CA装置と冷却装置を合わせて構成した最新のシステムのようです。
(真ん中の図は、CA冷蔵システムを表したものです。
同じくHPからお借りしました。)
また、エチレンガス除去機なども製造していて、果物が呼吸する際発生するエチレン
ガス(植物の成熟促進ホルモンで、傷みの原因になる)を吸収除去する作業もやって
おられるようです。
(一番下の表は、調整された空気の内容です。
同じくHPからお借りしました。)
今回、JAフルーツ山梨が生桃の保存法を研究している理由は、
•季節外れに供給して高値を狙おう、 というよりむしろ、
●山梨県の特産の桃が最盛期に採れ過ぎて値崩れするのを防ぎたい!、という発想に
基づくものとの事です。
ところで、
呼吸量を減らすことが熟し過ぎを抑える、と、前述しましたが、
もう少し詳しく言うと、
呼吸で取り込んだ酸素の一部は、取り込まれた先で強い酸化力を持つ《活性酸素》
というものに変わるのだそうです。
この《活性酸素》は、侵入する細菌を撃退したり解毒する働きなどプラス面の働きを
します。一方で、細胞や組織を酸化して変質させ機能を衰えさせる、いわゆる老化現
象を引き起こす、とも言われています。
人間に関して言えば、
TVCMでも「サビない人」を目指そう的なうたい文句を聞いた事があります。
サビる=酸化→老化 という回路は耳慣れてきて、《活性酸素》という言葉は、
すでに、アンチエイジングの敵のように見なされています。
人体には、もともと《活性酸素》を消去する「抗酸化酵素」というものがあり、しか
しながら、40代頃から酵素の機能は低下してゆく、とのことです。
抗酸化物質としては、ビタミンC•E、βカロチンなどが有るそうで、概して、果物など
は老化防止によいことが分かります。
人間の話にそれてしまいましたが、
桃に戻ると、
今回の試みで、酸素をコントロールして、生の桃が長期保存できれば、クリスマス
に生の桃を食べられる(ハウス栽培のでなく)、という状況が生まれそうです。
旬の時期に採り過ぎた桃が、ジュースやシロップ煮でなく生で保存できるなら、
生産者には朗報(保存のコストにも依りますが)なのだろうと思います。
ドライマンゴーやドライレーズンのように、ドライという方法で製品化出来ない
水分いっぱいの桃ならばなおのこと、生保存の試みが上手くいって、山梨特産の
桃が冬も市場をにぎわして欲しいです。


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